基礎体温とカラダのリズム
妊娠ご希望の方であればつけたことはあると思いますが、簡単に言うと毎日の基礎体温を記録することで、生理周期に対応した体温の変化から排卵時期をある程度予測していくことができます。低温期と高温期の2つに分かれていて、低温から高温に上がるとちゃんと排卵があって2層になるという形での評価になります。
ちょうど中間のBの地点。低温期から高温期に移行するところが排卵の時期になります。実際体の中ではどういったことが行われているのかといいますと、低温期は卵胞期といいまして排卵の前の時期です。高温期は黄体期といいまして、排卵の後の時期になります。まず、卵胞期に少しずつ卵の入っている袋が育っていきます。それに伴って卵巣からのホルモン、エストロゲン(E2)という女性ホルモンの値が少しずつ上昇していきます。この上昇の過程で、子宮の内膜の準備が少しずつ進んでいきます。
子宮内膜は増殖期と言われる時期になります。エストロゲンの分泌が十分に起こると、LHサージが起こってこの刺激で排卵が起こります。排卵が起こりますと、体温が上がることになるんですが、それは今まで育てた卵胞が黄体というものに移行して、この黄体からプロゲステロン(P4)という女性ホルモンが分泌されます。この女性ホルモンの作用で体温が上がってきますので、皆さんが基礎体温をつけている時に排卵があったかどうかというのは、ちゃんと高温に移行したかどうかでわかるということになります。
ご夫婦でタイミングを取られている時には、基礎体温をつけて、排卵検査薬など尿の検査をされたこともあると思いますが、この尿検査というのはLHサージの分泌を検出するキッドになります。正常な月経周期の場合ではこのようなことが体の中で起こっています。
自然妊娠が成立する機序・順序
基礎体温のところでご説明した通り、女性の身体で排卵が起こります。それと同時期に性交渉により精子が膣内に射精され、精子が子宮頚管という子宮の入口から子宮内の卵管を通って、卵管内の卵管膨大部というところに到達します。排卵された卵子は、卵管内に取り込まれて、ここで初めて卵子と精子が出会って受精が起こるということになります。ここから約5日~7日間かけて卵管内の分割~胚盤胞という時期を経て、子宮の内膜に着床が起こります。これで妊娠が成立するということになります。
妊娠までの8ステップ
①卵胞の発育
卵巣にある原始卵胞は、胎生6ヶ月(お腹の中)頃で最大の700万個であり、出生時には200万個に減少し、思春期には20~30万個となり、実際妊娠を迎えるころにはさらに数が減って、閉経の頃にはゼロに近くなります。
精子のように新たに製造され増加していくことはなく、卵子は減少の一途をたどります。
胎生6ヶ月(お腹の中)頃からの長い眠りから覚めた卵胞(原始卵胞)が排卵するまでには半年(180日)以上の時間を要します。
その間、3ヶ月(約90日、月経周期3回)以上もの間血流の影響を受け、大きさが2~5㎜になると、その後の発育はさらに女性ホルモンであるゴナドトロピン(FSH)の影響を2ヶ月(月経周期2回)受けて発育していき、次の生理を迎えると約15日で一気に排卵へ向けて20㎜に成熟していきます。
原子卵胞が排卵されるまでの成長過程
②排卵
月経周期(約28日)毎に、卵巣で順調に育ち成熟した卵胞からたった1つの卵子のみが「排卵」されます。女性は約200万個ほどの原始卵胞を持って生まれてきて、思春期になると数十万個に減ってしまうなか、残され準備できた原始卵胞から1周期ごとに1個の成熟した卵子のみが排出されます。なんとも生命の不思議を感じます。
排卵の頃、子宮では頚管粘液が増えてきます。排卵後、卵子を排出した卵胞は「黄体」に移行し、その影響で体温が上がります。この黄体を維持することによって、子宮内膜の変化が起こります。これは卵を受け入れる準備が進むということになります。
卵子が成熟しているかどうか、排卵をしているかどうか、卵巣内に残る卵の数を図る目安を調べるには、基礎体温・超音波検査・ホルモン検査・AMH(卵巣予備能)検査などをすることでわかってきます。
③ピックアップ
卵胞から排出された卵子が、手のひらのような形をした「卵管采」にキャッチされるこの機能を”ピックアップ機能”と呼んでいます。卵子が卵管采に辿り着くのではなくて、卵管采が卵巣を覆いかぶさるように動き排出された卵子をキャッチします。卵管内へ取り込まれた卵子は子宮へ向けて移動を続けます。
これがうまくできなかった場合「ピックアップ障害」といい、精子と卵子がそもそも出会えていないということになります。
ピックアップ障害があるかどうかを調べる検査は現在のところありません。人工授精までステップアップされてもなかなかうまくいかない方が、体外受精にステップアップして妊娠に至った場合、結果的にこれが妊娠に至らない原因だったと推測されます。子宮内膜症や過去にお腹の手術などをされたことがある場合ピックアップ障害になりやすいとも言われています。
④精子上昇
射精された精子は子宮頸管という2~3㎝ほどのットンネルを通って膣内から、子宮内、卵管へと上昇していきます。排卵の頃になると、子宮頸管に頸管粘液という粘液が分泌されることで精子が通りやすくなります。こうして、精子は子宮内を通過し、卵管へと進んでいきます。
⑤精子待機
卵管を通り卵管采までたどり着いた精子は、卵管の壁に頭を突っ込み、排卵を待ちます。排卵が起こると、卵管采から取り込まれた卵子(③のピックアップの所で説明)と卵管膨大部という卵管の先で精子と出会います。上の図(自然妊娠が成立する機序・順序)で場所を確認できますのでご覧ください。1億の精子が膣内に射精されても、卵管膨大部にまでたどり着くのは数十~数百といわれています。
⑤受精
卵子に到着した精子は卵子の周りに群がります。精子は頭から酵素を出しながら尻尾を振り、卵子の外側を覆う顆粒膜細胞を通り抜けます。数十個の精子が透明帯を破ろうと一丸となって突き進みます。そして、そのうち1個の精子が透明帯の中に入ると、その瞬間バリアが張られ他の精子は入れなくなります。この精子が卵細胞に入ります。これが受精です。
精子と卵子が受精する精子がきちんと機能しているかどうか調べるのは…
⑦胚分割
自然妊娠では、受精卵(胚)は卵管の中で受精し、細胞分裂を繰り返しながら5~6日間かけて子宮に向けて移動し、成長をした胚盤胞というセテージになる頃に子宮に到達します。胚は卵管の中で成長をしながら子宮に向けてシグナルを送っており、子宮内膜はこのシグナル(クロストーク)をキャッチして数日後に子宮に到達する胚の受け入れ態勢を整えるため着床に向けて準備を始めるのです。
⑧着床・妊娠
子宮内に着床する子宮の異常を調べるのは…