●体外受精への挑戦
たくさんの候補の中から、たった一つ選ばれた排卵する卵胞が必ず赤ちゃんになれる卵胞ではなく、排卵されなかった2番手、3番手の卵胞が赤ちゃんになれる卵子だったかもしれないということ。つまり、その周期で成熟した卵胞の中で、赤ちゃんになれるものがどれかはわからないのです。そこで、できるだけ多くを薬でコントロールして、授精させようという考えのもと行われるのが排卵誘発剤を使った体外受精というわけです。そうすることで、赤ちゃんになれる卵子に巡り合える確率が上がります。
このように近年高度生殖医療の技術の進歩により、体外受精や顕微授精を行うことで、それまでわからなかった原因がわかってきたり、また障害がクリアできるようになりました。体外受精で卵子を採って(採卵)精子をふりかけることで授精障害がわかります。卵が元気かどうかもある程度判断できると言えます。
顕微授精では人の手で確実に授精させるため、授精障害も高い確率でクリアできることもわかってきました。
●一般検査ではわからなかったけど、卵管が詰まりがある
(卵管障害)
●排卵された卵子を子宮に取り込めない
(ピックアップ障害)
●精子と卵子は出会っているが受精までいかない
(授精障害)
ピックアップ障害、授精障害は明確な判断基準がなく、原因を特定するのは困難なのですが、体外受精・顕微授精が行われるようになったことで、このような障害で妊娠を阻まれていた方にとっても効果的に妊娠率を上げることができる時代になりました。
一通りの検査で異常はなく、上記の原因が疑われているとしても、ステップアップしたことでクリアしているはず。
なのに、体外受精を何度か繰り返しされているのだとしたら、クリニックではおそらく「卵子の質の低下」と指摘された方も多いのではないかと思います。
30代半ばを過ぎてくると、このようなことを指摘される確率が明らかに上がります。または、AMHの値が低いことにより体外受精へのステップアップを勧められたという方もおられるかと思います。
AMH検査で何がわかるのかというと、
AMH検査は「体外受精行なった場合の有効性を予想できる検査」。つまり、卵の質が問われる妊娠率とは相関性がなく、卵巣にある卵胞の数を推測することができる検査です。
たくさんの卵子が採れれば、そこに赤ちゃんになれる卵子が存在する確率は高くなります。体外受精においては、採卵数と妊娠率というのは相関関係がありますので、AMH検査は「体外受精の有効性を予想するのに有効な検査である」と言えます。
このように、AMHの値は「卵子の質」を反映させるものではありませんが、20代や30代前半の方でもAMHの値が低い方が多くいることも事実で、個人の差が非常に大きいことがわかってきました。
妊娠できるかどうかは、年齢(卵子の質)の影響がいちばん大きいので、AMHの値が同じなら、30代半ば過ぎの方は20代の方と比べると妊娠率は低くなりますので、質の良い卵子に巡り合う可能性は少い、と言えます。
女性の卵子は、精子のように新たに製造され増加していくことはなく、減少の一途をたどります。卵巣にある原始卵胞は、胎生6ヶ月(お腹の中)頃で最大の700万個卵巣に存在していて、思春期には20~30万個となり、1日にして換算すると30個ほどの卵子が減り続けてるということになります。
これは病気や異常ということではなく、長い間体内にある卵子を成熟させ排卵するという女性生殖器のメカニズムなのです。ですから、女性の年齢が高くなればなるほど卵子も同じく歳を重ねるので、質自体も低下してしまうというのが生殖医療における世界共通の考え方となっています。
現在日本では女性が子を持とうする年齢が高くなってきたことが、日本で不妊に悩む方が急増した大きな理由とされています。
しかし、日本だけが特別晩婚化が進んでいる訳ではなく、晩婚化は世界中で多かれ少なかれ見受けられます。ですので、「日本で生活している方だけが、こんなにも不妊に苦しんでいるのは、年齢の問題だ」とは言い切れないのではないでしょうか??
まず、現在日本の不妊治療はガイドラインが設けられてないということです。ガイドラインが設けられている一般疾患では、どこの施設でも同じ医療が受けられるのに対し、不妊治療では、どこの施設でも同じ医療が受けられないという状況にあります。これは極めて特殊な医療と言えます。
極端に言ってしまえば、そのクリニックの考えだけで治療を進められてしまうため、施設によって治療方針が大きく違う、そして初期検査も施設によって異なっていることからも、決まりがないことが伺えます。
つまり、施設により大きく技術の差が生まれ、不妊治療(特に体外受精)の妊娠率の施設差が非常に大きくなっているということを、しっかり把握する必要がある、ということを知っていただきたいと思っています。
現時点で体外受精を繰り返してなさっていて、クリニックで「卵子の質の低下」と指摘され、なかなか思うような結果が得られない状況だとしたら…。上に記した通り日本の不妊治療の性質を考慮し、クリニックを再検討されたことであっさり妊娠、そして卒業された方を幾度となくみてきたほほえみ鍼灸院では、必要であれば、あなたのお身体の状態に適したクリニックへの転院のアドバイスも情報提供の一つとしてさせていただき、このことも踏まえて治療計画を見直していただくことをお勧めしたいと思っています。
正しい知識を得てあなた自身がパワーアップをすることはとても大切なことですが、その先に出産したいと願う方はどうすればいいのか?妊娠しにくいと感じたカップルはいったい何ができるのか?といったことに対して現代医学でどう導いていくのか、ということはまだ十分に知られていません。
ですから、私にできることとして「専門性を追求した鍼灸や漢方を通じて」今の状態から“少しでもあなたを妊娠しやすい身体に近づける”ことでお力になれればと思っています。
東洋医学、鍼灸、漢方といったより自然な治療方法だけにこだわりすぎずに、不妊治療中の方またはご夫婦、妊娠中の不安なカップル、がもっと周りの理解を得られ大切にされ、安心して命をつないでいけるようにするにはどうすればいいのか?ということにも目を向け大切にし、鍼灸・漢方以外の面も含め、ご来院いただいた方や、そうでなくてもご縁のある全ての方を最大限サポートさせていただくことが湘南レディース鍼灸治療院の使命だと思っていますので頑張っていきたいと思います。